会社生活は人間関係によって大きく左右される
昨今この言葉は至る所で耳にします。
入りたての頃は、上下関係は然り。
僕の場合、上司には本当に恵まれました。
会社に入って今まで、良い事も、嫌な事もたくさんあったけど、
これだけは100%胸を張って言えます。
仕事が出来るとか、頭の回転が速いとか、
そんな人達はうちの会社に五万といます。
そんなことよりもっと深い基幹的な部分、
人間として、兎角温和で、器が大きいのです。
上司という肩書きなんかではなく、一人の人間として尊敬しています。
商品企画という仕事は、職能上非常に忙しく、
突発的な仕事も日常茶飯事です。
でも、この人はどんなに忙しかろうと、
どんなトラブルが起きようと、慌てる素振りすら見せません。
ただただ落ち着きながら、
「xiaosi、ちょっといぃかなぁ。何かなぁ、とらぶってんねん。一緒に動こか。」
といつもの様に、いつもの口調で語りかけて来ます。
いつも一番最後までオフィスに残り、
休日も出勤しています。
ただ、絶対に愚痴を言いません。絶対に感情的にもなりません。
でも、どんな些細なことでも
必ず「ありがとう。」は言います。
忙しくて言いそびれた時は、
「xiaosi、ありがとう。Tより。」と書かれたメモが机の上に置かれています。
昨年度、
僕が、入社後初めて商品説明を任された時。
相手は台湾販社の社長と幹部ということで、前日の緊張はピークに。
前日12時帰宅、当日も朝5時出社でパソコンを叩いていました。
でも、一回目のリハは案の定内容が支離滅裂。
喋りがめちゃくちゃなのは自分が一番よく分かっていました。
「失敗は許されません。荷が重過ぎます。降ろして下さい。」と、
急遽受け入れ先の海外営業部長に頼もうかとも思いました。
でも、周囲の痛い視線を浴びる中、
上司だけは微笑みながら、またいつもの様な温和な口調で、
「えぇやんか。初めてにしてはめっちゃうまく喋れてたで。」
朝5時に一緒に出社してくれ、ずっと練習に付き合ってくれた上司。
「俺はこの人の為に必ず成功させなければいけない。」
という想いだけで、何とかこの日のプレゼンを乗り切りました。
そして、今日、
任されていた仕事を上司に報告している時、
質問回答に詰まっていると、
あの人はすぐさま携帯を取り出し、関連部門に電話をした後、
「あんなぁ、xiaosi、これなぁ、こういうことやねんて。」
と逆に丁寧に説明をし始める始末。
本来、俺の案件であれば、俺がまず部内で誰よりもその事を理解し、
上司に分かり易く説明するのが当たり前。
上司が温和な口調で、かつものすごく真剣に説明をしてくれている最中、
自分に対する不甲斐なさと、上司に対する申し訳なさで
ずっと唇をかみ締めながら聞いていました。
自分の為だけにやって来ている仕事だったら、
もうとっくに折れていたかも知れない。
今は、だただたあの人に楽をしてもらいたい。
その想いが仕事への原動力の大半を占めています。
人間、誰かの為に何かをしたいと思った時、
少しだけ強くなれるのだということを知りました。
そして、将来、あんな人になりたいと、強く思いました。